京都国際マンガミュージアム「ヨカゼミュージアム」レポート
- 悠樹 黒澤
- 4月23日
- 読了時間: 18分

2025年3月22日、京都国際マンガミュージアムにて1日限定のコンサート・展示イベント「ヨカゼミュージアム」そして「Yokaze Acoustic Concert -Music directed by Daisuke SHIIBA-」が開催されました。
「ヨカゼ」はインディーゲームパブリッシャー「room6」が作ったレーベルです。グラフィック、音楽、テキストやゲーム性などの要素が折り合わさって思わず世界に浸ってしまうような情緒ある体験ができるゲームを提供しています。
「ヨカゼミュージアム」では作品の試遊コーナーや、原画・設定資料の展示、そしてイベントのために作られた新商品の物販が展開されました。
「Yokaze Acoustic Concert -Music directed by Daisuke SHIIBA-」は椎葉大翼(しいば・だいすけ)さんによりこの日のために新たにアレンジされた「ヨカゼ」タイトルの音楽を生演奏で楽しめる演奏会です。
今回はそのイベントとコンサートの様子をレポートします。

「ヨカゼミュージアム」展示
3月22日、晴天の京都国際マンガミュージアムはたくさんの来場者で賑わっていました。元々小学校だった建物を利用したこの施設には“マンガの壁”と呼ばれる書架に単行本がびっしり。1970年代以降に発行された作品を中心に、1階から3階まで並べられた約5万冊のマンガ本の中からおのおの好きなものを手に取り、施設内のイスや芝生のうえで楽しむ姿がみられます。
「ヨカゼミュージアム」が開催されたのは、そんなマンガミュージアムの一室です。
たった1日限定のイベントですが、この日のために各地より多くの来場者が集まり、ワクワクしながら京都まで集う様子がSNS上でも見られました。お話をお伺いすると、ほとんどの来場者が「ヨカゼミュージアム」をきっかけに初めてこのマンガミュージアムを訪れたようです。
開場時間の10時には「ヨカゼミュージアム」の展示コーナーをいち早く訪れるため、すでにたくさんの来場者で列ができていました。
「ヨカゼミュージアム」の展示室に入ると、まず目を引くのが「ヨカゼ」の雰囲気が溢れる試遊コーナーです。すこし薄暗い一角をポップな『ピギーワン SUPER SPARK』のネオンサインが照らし、ブラウン管のモニターで好きな「ヨカゼ」作品を堪能できるようになっています。この試遊スペースは2024年夏に渋谷PARCOで開催された「ヨカゼの公園」を再現したものですが、まさに世界に浸ることができる空間になっており、来場者は座り込んだり寝そべったりしながら作品を堪能していました。遊べる作品も夏の展示より増え、最新版にパワーアップしています。

壁面の資料にも「ヨカゼの公園」を再現したものから、新たに増えた『アンリアルライフ』のマンガ版や『ムーンレスムーン』の設定画などがところせましと展示され、来場者の目を楽しませました。世界観や設定が違う作品たちですが、こうして展示されると「ヨカゼ」というレーベルの統一感が見られるようです。
物販コーナーはとても人気で、絶えず列ができていました。来場者のお目当ては当日初登場のアルバムCD「Yokaze Acoustic Collection vol.1」や会場限定の「ヨカゼのクッキー缶」など。よく見渡すとマンガミュージアムのところどころに「ヨカゼ」物販の紺色の紙袋をうれしそうにぶら下げた人たちの姿がありました。
京都らしく、海外からの来場者もたくさん。初めて今日の展示を知った海外のかたがゲームを購入する様子もみられました。
「Yokaze Acoustic Concert -Music directed by Daisuke SHIIBA-」
展示を楽しんだ彼らが次に楽しみにしているもの、それは「Yokaze Acoustic Concert -Music directed by Daisuke SHIIBA-」です。特別に用意された当日券もすぐに販売終了し完売御礼のアコースティックコンサートは展示コーナーの近く、同じく1階の多目的映像ホールにて開催。開場時間前の受付エリアは開演を心待ちにした来場者でいっぱいでした。
初の試みとなるこのアコースティックコンサートは、「ヨカゼ」からピックアップされた5作品の楽曲を、作曲家の椎葉大翼さんが今回のために特別に室内楽アンサンブルアレンジをし、その生演奏を楽しめるという豪華なもの。椎葉さん自身が音楽を担当された作品はもちろん、他の打ち込みで作曲された楽曲たちも新規にアレンジをされて、新たな魅力に触れることができます。
「Yokaze Museum 2025 Opening」映像
コンサートの始まりは特別に作られた映像「ヨカゼミュージアム 2025」から。
「ヨカゼ」のブランドを統括するhako 生活さんがプロデュースしたこの映像は、このイベントのためイラストレーターの宇野山むじさんにより描き下ろされたイラストと、椎葉大翼さんがそのイラストを見ながら作曲したという新曲「Yokaze Museum 2025 Opening by Daisuke SHIIBA」と共に紡がれます。ナレーションはヨカゼのゲーム紹介番組「ヨカゼナイト」でもおなじみのバーチャルシンガーヰ世界情緒さん。夜の電車が到来する幻想的な風景を、しずかに、でもどこかワクワクさせるように語ります。
「ゲームには、世界には、あの時には、あの場所には、感情には、いつもそばに音楽がいたはずです。そこはとっておきの音色に、とっておきの音楽に再び出会うことができる場所。
今日ご紹介するのはそんな特別な場所です。
窓辺から夜風が吹いて、目的地が見えてきました。
さあ、まもなく到着です。
ようこそお越しくださいました。こちらは「ヨカゼミュージアム」です。」
コンサートのはじまり
映像が明け、司会の豊川泰行(とよかわ・やすたか)さんが登場します。豊川さんは「ホテル アンテルーム 京都」のマネージャーで、「ヨカゼ」作品の世界が楽しめるコンセプトルームの実施や、バーやギャラリーでの展示やコラボレーションなど、「ヨカゼ」作品ともとても縁の深いかたです。
豊川さんに紹介され、もう1人のトークパートナーである椎葉大翼さんが登場します。椎葉さんは任天堂で9年間サウンドクリエイターとして音楽制作に従事し、現在はフリーランスの作曲家として活動中です。近年では『ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』シリーズへの編曲参加など幅広く活躍中。「ヨカゼ」では『From_.』や『World for Two』そして『OU』の作曲を担当しており、今回の演奏のための編曲もすべて担当しています。
椎葉さんから今日のコンサートは「これまでの、そしてこれからの『ヨカゼ』の音楽をたっぷり堪能いただける特別なコンサート」とはじまりのご紹介があり、配布されているプログラムを手に取るよう案内があります。まずはピアノソロからはじまり、そのあとは今日のために5名の演奏家向けに編曲したとっておきの楽曲をお届けすること、トークと休憩を含めて約2時間あるということなど、コンサートをより深く楽しめる全体の構成の解説がありました。
進行表がはさんであるAppleロゴシールが貼られたバインダーを「皆さんからはiPadに見えるかもしれませんが、紙をはさんでいるだけです」とお茶目なジョークで観客の笑いを誘いつつ、椎葉さんから「リラックスして最後までごゆっくりお過ごしください」と案内があると、普段の空間とは違う室内楽のコンサートに緊張していた会場の空気がやわらかくなったようでした。

ピアノ独奏のための『From_.』
最初にお届けするのは『From_.』から3曲。

まずは原作についての説明があり、次に演奏楽曲の解説や司会を交えたトークパートがあり、その次に実際の演奏を楽しむ、という構成のコンサートになっており、この日をきっかけに新たに作品に触れた人も興味を持って楽しめる心遣いが感じられます。
『From_.』は黒と青2色のピクセルアートで描かれる水に囲まれた世界で、郵便屋さんが船に乗って手紙を届ける、シンプルながらも深い感動を与えるアドベンチャーゲームです。
作品内の音楽は制作者のnakajimaさんからの要望で、白鍵と黒鍵の2色で構成されたピアノを用いて作曲されています。
演奏をするピアニストの四條智恵(しじょう・ちえ)さんは椎葉さんの高校の同級生で、高校時代に彼女の演奏に感動した椎葉さんは、当時初めてピアノソロのために作曲した曲を演奏してもらった縁もあるそうです。
四條さんは『From_.』内で実際に使用されているピアノ曲も演奏しているため、観客はゲーム内の音楽をそのまま生演奏で聴くという貴重な体験ができました。また、今回登場したアルバム『Yokaze Acoustic Collection vol.1』では新たに再録された『From_.』の楽曲が楽しめるとのことで、客席からはファンの感嘆の声が聞こえてきました。
1. 前奏曲 - Prelude- 『From_.』
2. 舟歌 -Barcarolle- 『From_.』
3. 円舞曲 -Waltz- 『From_.』
五重奏のための 『アンリアルライフ』
続いては『アンリアルライフ』から2曲。トークゲストのhako 生活さんが、豊川さんと椎葉さんの質問を交えながら作品と楽曲を解説します。

hako 生活さんは個人ゲーム制作者として4年間かけて開発した『アンリアルライフ』を2020年にリリースすると同時にインディーゲームレーベル「ヨカゼ」をroom6と共同で立ち上げ、ブランドマネージャーに就任しました。現在は『ピギーワン SUPER SPARK』を開発中です。
『アンリアルライフ』は、ピクセルアートで描かれた2D横スクロール型アドベンチャーゲームです。夜の街を舞台に、記憶を失った主人公の少女「ハル」とパートナーの信号機「195」が謎を解きながら旅をします。hako 生活さんが「遊んだかた、どのくらいいらっしゃいますか?」と観客に問いかけると、なんと約90%が挙手。愛されている作品だということが改めて分かります。
続いて椎葉さんからhako 生活さんへ「自分でゲームも音楽も作れるのはすごいですね。自分で作ると音楽にボツを出す人がいないのが“いいなあ~!”と思います……僕がボツを出されまくっているという訳ではないですが」と率直なコメントで会場の笑いを誘います。
椎葉さんから「どの場面の曲から作ったか」という質問が投げかけられるとhako 生活さんは、「最初に手をつけた音楽はいくつかありました。当時は作曲の知識があまりなく、Macに無料でインストールされているGarageBandで作曲をしていました。まずは『Mind Signal』という、ゲーム内で最初に出てくる『195番道路』で流れるアンビエントな楽曲を作りました」と当時を振り返ります。
ゲーム中の音源から室内楽へと編曲する際、電子音をそのまま楽器と置き換えることができる楽曲に感心した椎葉さんが「以前から弦楽器やピアノを使用した作曲をしていたのか」と質問をすると、もともとバンド活動をしていた経験を活かし、『アンリアルライフ』で初めて弦楽器やピアノを使用した作曲に挑戦したことが明かされました。

また、hako 生活さんは今回の新アレンジが収録されたアルバムのレコーディングにも立ち会っており、自分が1人でもくもくとデスクトップで作成していたメロディが誰かの手で演奏されたことによる感動や、もともと機械的に再生されていたものが人の手で演奏されることで、まるで命が宿るように感じた経験を語りました。
豊川さんからの「印象に残っている曲は?」という問いかけに、今回のコンサートでも演奏され、プロモーションビデオにも使われていた「Unreal March」と「Crazy Eyes」の2曲を挙げました。
「Unreal March」制作時、カフェでコーヒーを飲みながら椎葉さんに「どんな楽器を使えばいいか」と相談し、「この楽器はこの音域しか出ない」などのアドバイスをもらい、それが役に立ったというエピソードが披露されます。
「Crazy Eyes」はPVのために制作した曲で、夕暮れの帰り道を歩きながらふと思い浮かんだフレーズを元に、帰宅後、映像と一緒に作り上げた楽曲とのことです。気に入って本編にも使用した経緯を教えてくれました。2曲とも『アンリアルライフ』を象徴する青色と赤色を体現した曲になったと語りました。
椎葉さんから「Crazy Eyes」は今日演奏される曲の中で“最も不穏な曲”という褒め言葉がかけられ、5名の演奏者によって2曲が披露されました。
[Quintet]
4. Unreal March 『アンリアルライフ』
5. Crazy Eyes 『アンリアルライフ』
五重奏のための『Recolit』
続いて前半プログラムの最後となる『Recolit』から3曲。

トークゲストの作曲者つよみーさんからお話があり、『Recolit』を一言で表すと「夜の寂しさを深く味わうゲーム」とのこと。宇宙服を着た少年が不時着した先の未知の街を冒険し、数々の出来事を体験する内容だと解説があります。
椎葉さんは「そのような体験をしてみたいですが、宇宙服が必要ですね (笑)。ゲームならではの貴重な体験だと思います」と場の空気を和ませ「音楽はどの場面の曲から作り始めましたか?」と質問。
最初に作ったのは、この日も演奏される「あの子 - That Girl-」で、非常に重要な場面の曲だったため悩みながらいくつかのラフを作ったとのこと。開発者であり「ヨカゼミュージアム」のメインビジュアルも手掛けた宇野山むじさんに聴いてもらい、最終的にどのバージョンを使用するか判断してもらったそうです。ちなみに採用されなかった楽曲はボツになってしまい、陽の目を見ることはまだないということでした。
原曲の特色のある音色は、過去に使ったことのない音色で、試行錯誤して作ったそうです。この音色作りのために「Massive」というシンセサイザーを使用しているとのこと。最初は特徴的なピクセルアートを見て、ファミリーコンピュータのような音色で曲作りを試みましたが、しっくり来ず、作品に合わせてもっと柔らかい音に仕上げたそうです。

さらに今回演奏される3曲の中でとくに注目してほしいポイントとして「ピチカートの音」があげられます。「ピチカート」は弦楽器を弓ではなく指ではじいて弾く奏法で、椎葉さんの編曲ではこの奏法を効果的に取り入れることで原作の雰囲気を再現してくれたと説明が。「とくに1曲目の冒頭から注目してください」と語ります。
豊川さんから作中の印象に残っている曲を聞かれると、3曲目に演奏される「明かり -Light-」は思い入れが強い楽曲とのこと。ほかの楽曲は淡々とした印象のものが多い中、物語の大事な場面で流れるこの曲は豊かな感情を込めて作られたそうです。
聴きどころが語られワクワクが増したところで演奏が始まります。
[Quintet]
6. はじまり -The Beginning- 『Recolit』
7. あの子 - That Girl- 『Recolit』
8. 明かり -Light- 『Recolit』
休憩中
その後設けられた20分の休憩時間には、コンサートの開始時間に合わせて来場し、はじめて見る展示をワクワクしながら鑑賞する人々と、物販コーナーに列を作り、コンサートのために編曲されたアルバムを購入する人々の姿が見られました。「コンサートを聴くと、購入したくなるものですね」と語り合いながら移動する人々の姿が印象的でした。
五重奏のための『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』
続いては『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』から1曲。
本作は日本の深夜を舞台に描かれる3Dアクションアドベンチャーゲームで、さまざまな住民と交流したり、追いかけてくる鬼から逃げたりしながら島の秘密に迫っていきます。本作はまだ制作中ですが、イベントの試遊でも多く遊ばれている非常に注目度の高い作品です。

音楽はどこか日本の民謡を思わせるメロディが魅力的です。今回、椎葉さんが新たに編曲するにあたって音楽を作られた剱すきま(つるぎ・すきま)さんとのやり取りがあったといいます。
公開済みの宣伝映像で使用されている楽曲を編曲したところ、「200点の出来だ」とアレンジをよろこんでもらい、譜面を起こしたものをお送りしたそうです。そこにテンポや強弱の細かな指示を書き込んでもらい反映し、より完成度をあげることができたとのことでした。椎葉さん自身も「聴いただけでその世界へ連れて行ってくれるいい音楽」と思いながら作業されたそう。
[Quintet]
9. 狐ト蛙ノ旅 -Kitsune: The Journey of Adashino-
五重奏のための 『World for Two』
最後に演奏されたのは『World for Two』の音楽です。この作品は「滅びた世界に再び命を取り戻す」ことがテーマで、森や砂丘、遺跡などの風景を音楽で表現しています。

音楽は、朝昼夜すべての場面に自然に溶け込むよう工夫され、聴くだけでその場の空気感を感じることができるように作られています。今から40年ほど前に流行った音色を使うために新たに当時の音色を再現できる機材を手に入れて、『World for Two』の厳しくも美しい、儚くも力強い世界を表現したというエピソードも披露されました。
春夏秋冬を音楽で表現して欲しいというオーダーがあり、砂漠の音楽で夏を描き、遺跡の音楽で冬を表現した経緯があったことも明かされます。『World for Two』といえばこの曲とイメージするかたも多いであろう「夢想曲 -Daydreaming-」は実はもともと沼地の曲として作られていたおり、「沼地の曲にするにはメロディの印象が強い」と判断され、タイトル画面や研究所、エンディングなどで使用されるようになったという驚きのエピソードも。椎葉さんいわく「聴いただけで博士とアンドロイドの未来が見えるような曲」を目指して作られたとのことで、その思いが制作陣に伝わったのかもしれませんね。
今回はその「夢想曲 -Daydreaming-」をピアノソロ、カルテット、そしてクインテットというそれぞれ違う形態で楽しむことができる豪華仕様。同じ楽曲でも楽器の編成が違うだけで主旋律やハーモニーの響きが変化する贅沢な体感をすることができました。
[Quintet]
10. 沼地 -Lagoon- 『World for Two』
11. 森林 -Forest- 『World for Two』
12. 砂丘 -Sand Dunes-『World for Two』
13. 遺跡 -Snow Ruins-『World for Two』
[Piano solo - Quartet - Quintet]
14. 夢想曲 -Daydreaming-『World for Two』
アンコール 五重奏のための『Yokaze Museum 2025 Opening』
プログラムに記載されている曲目はここまでですが、なんとサプライズの楽曲披露と撮影可能タイムのアナウンスが。オープニング映像でも披露された「Yokaze Museum 2025 Opening 」の生演奏を楽しめるうえに、『World for Two』から「遺跡 -Snow Ruins-」が再演奏され、動画を撮影しSNSにUPしてもよいとのこと! ハッシュタグ「#ヨカゼミュージアム」でのポストを推奨していたので、検索をすると来場者それぞれの視点からの演奏を追体験することもできます。
「Yokaze Museum 2025 Opening」はメインビジュアルのイラストに合わせて「青い曲」をイメージし「各楽器に見せ場があるように」にしようと作曲したと椎葉さん。以前『From_.』の作曲に関するエピソードでも青色をイメージした楽曲=「青い曲」の作り方があるとおっしゃっていましたが、どう作るかは企業秘密とのこと。
後日、椎葉さんの𝕏アカウントで、iPad Proに表示されたイメージイラストの隣に譜面が置かれた作曲時の様子がわかるお写真がポストされており、「この曲はこうやって生まれたんだ!」と感動を二度味わうことができるようになっています。
15. Yokaze Museum 2025 Opening
終了のご挨拶
最後は再度「ヨカゼ」ブランドマネージャーのhako 生活さんも加わり、来場者への挨拶がありました。
豊川泰行さん
本日は「ヨカゼアコースティックコンサート」にお越しいただき、誠にありがとうございました。「ヨカゼ」は情緒あるゲームの世界が集まって生まれたレーベルです。それぞれの音楽を聴くと、「あの世界に帰ってきた」という懐かしさと、ゲームをクリアした後も「きっとあの世界が続いているんだろうな」という希望を感じます。「ヨカゼアコースティックコンサート」はいかがでしたでしょうか? 皆さんの中に懐かしくも切ない夜の風が吹いたなら、きっと、あの世界は続いていくことでしょう。私もまたどこかでお会いできることを楽しみにしております。
hako 生活さん
関係者の皆さま、そして普段からゲームを遊んでくださっている皆さんのおかげで、このような場を設けることができました。本当にありがとうございます。ゲームの音楽は、ただ音を聴くだけではなく、実際の体験として音が存在し、感動や感情に音が伴うという特殊性があります。皆さんには、常にそこに音があるという感覚を最大限に体験していただいたのではないでしょうか。
椎葉大翼さん
今日はおいでいただきありがとうございます。皆さんに聞いていただいた演目は当然今日限りではなく、これからもどんどん披露する機会を設けていきたいと考えています。そのときは皆さんにまたこうやって見守っていただけたらうれしく思います。コンサートというものは皆さんに聞いていただいて完成するものですので、皆さんのおかげで今日の会は完成できました。ありがとうございます。
それとは別に個人的な野望として、新たな曲をまだまだどんどん披露する機会も設けたいと思っています。今日聴いていただいた中では(新曲が)1曲だけあって、オープニングの曲が新たに作った曲です。これに続く音楽をどんどん作っていきたいと考えています。本日選べなかったヨカゼの曲もありますのでそれらの曲も選んで、新たな曲も定番の曲と共に皆さんに愛されるようになればと思っています。
また今度披露できるときも、今日のように楽器の音色の良さを聴いているみなさんに堪能いただけるような音楽を作っていきたいと考えてますのでプレイヤーの皆さん、これからも長いお付き合いをお願いします。
冒頭見ていただいた動画や今のhakoさんの言葉の中で「ヨカゼのゲームにはいつも音楽がそばに」という内容の言葉があったのを皆さん覚えてくださっていると思います。今日のコンサートを聞いて「本当にその通りだな!」という風に思ってもらえていたら何よりです。今日のイベントが皆さんにとって2025年の思い出のひとつになることを願って挨拶を終わります。ありがとうございます。
さいごに
最初から最後までじっくりと「ヨカゼ」の作品の世界に浸り、新たな作品にも興味を持つことができるコンサートでした。それぞれの楽曲が心に残り、ゲームの世界観を思い出せるきっかけになったのではないでしょうか?
今回のアルバムのために作られたCDのタイトルは『Yokaze Acoustic Collection vol.1』です。コンサートの終わりに椎葉さんが語ったように、今回のコンサートではまだ演奏されていない「ヨカゼ」の楽曲たちがまだ存在しています。その楽曲たちが披露される場ができるよう、この“vol.1”に希望を託し、「ヨカゼ」の作品たちを愛し続けることで、この音色は続き、さらに響いていくことでしょう。
【演目】
「Yokaze Acoustic Concert - Music directed by Daisuke SHIIBA -」
[Piano solo]
1. 前奏曲 - Prelude- 『From_.』
2. 舟歌 -Barcarolle- 『From_.』
3. 円舞曲 -Waltz- 『From_.』
[Quintet]
4. Unreal March 『アンリアルライフ』
5. Crazy Eyes 『アンリアルライフ』
6. はじまり -The Beginning- 『Recolit』
7. あの子 - That Girl- 『Recolit』
8. 明かり -Light- 『Recolit』
- 休憩 Intermission -
9. 狐ト蛙ノ旅 -Kitsune: The Journey of Adashino- 『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』
10. 沼地 -Lagoon- 『World for Two』
11. 森林 -Forest- 『World for Two』
12. 砂丘 -Sand Dunes-『World for Two』
13. 遺跡 -Snow Ruins-『World for Two』
[Piano solo - Quartet - Quintet]
14. 夢想曲 -Daydreaming-『World for Two』
[Encore Quintet]
15. Yokaze Museum 2025 Opening
【作曲】
椎葉 大翼 (1-3,10-15)
hako 生活 (4,5)
つよみー (6-8)
剱 すきま (9)
【編曲】
椎葉 大翼
【出演】
齋藤 寛 (フルート)
白壁 美緒 (ヴァイオリン)
小林 明日香 (ヴィオラ)
末永 亜裕美 (チェロ)
四條 智恵 (ピアノ)
椎葉 大翼 (作曲・編曲)
hako 生活 (トークゲスト)
つよみー (トークゲスト)
豊川 泰行 (司会)
この記事を書いた人
レポート作成・編集:アネモネ・モーニアン(アニモ)
校正:ササン三(room6)